災害拠点病院のエネルギー供給を、初期投資ゼロで長期安定運用【熱供給サービス】
鳥取県東部保健医療圏における急性期医療の中核を担う鳥取赤十字病院様では、建物の老朽化や度重なる増改築により、耐震性能の確保や設備更新が大きな課題となっていました。
新棟建設にあたっては、東日本大震災の教訓をふまえた免震構造の採用に加え、災害時にも医療機能を維持できるエネルギー供給体制の整備が求められました。
そこで採用されたのが、ESSの熱源設備等受託サービスです。設備導入にかかる初期投資を抑えながら、設計・設置・所有・運用・保守を一括して担うことで、2030年までの15年間にわたり、病院の安定運用をエネルギー面から支える事業です。
- 吸収式冷温水発生機(ガス/A重油切替) 450USRT×1台
- 吸収式冷温水発生機(ガス専焼) 450USRT×1台
- 空冷式モジュールチラー 150kW(50HP)×4台
- 小型貫流ボイラ(ガス/A重油切替) 2,000kg/h×3台
- 小型貫流ボイラ(ガス専焼) 2,000kg/h×2台
- マイクロコージェネレーションシステム(水冷ガスエンジン) 25kW×1台
- 受変電設備 一式
- 老朽化した旧棟の建て替えによる耐震性能の確保と熱源設備更新・安定運用
- 建設コストが上昇する中での初期投資を抑えた熱源設備導入
- 災害拠点病院として、非常時にもエネルギー供給を継続できる体制の確保
- 災害時リスクを考慮した熱源設備の設計・設置から運用・保守までをESSに一元化し、長期安定運用を実現
- 受託サービス方式で初期投資を抑えながら、新棟に必要な熱源設備を導入
- 電気・ガス・A重油を組み合わせ、災害時のエネルギー供給リスクを低減
| 施設名 | 鳥取赤十字病院 様 |
|---|---|
| 所在地 | 鳥取県鳥取市尚徳町117 |
| 事業サービス期間 | 2015年12月1日~2030年11月30日 |
| 敷地面積 | 18,873㎡ |
| 延べ床面積 | 42,335㎡ |
| 病床数 | 350床 |
| 事業名 | 鳥取赤十字病院熱源設備等委託業務 |
| 構造 | 新棟:鉄筋コンクリート造・免震構造、地上9階建て ※8〜9階にエネルギーセンター |
初期投資を抑えながら、熱源設備の更新と長期運用を実現
鳥取赤十字病院様では、老朽化と増改築の影響により建物全体の耐震性能の確保に課題を抱えていました。地域の災害拠点病院として災害時にも医療機能を維持するため、新棟では免震構造を採用するとともに、災害に強い電気・熱源設備による安定したエネルギー供給体制の構築が求められました。
一方で、建設コストの上昇も大きな課題でした。新棟の建設に加えて、熱源設備や受変電設備などを新たに導入するには、多額の初期投資が必要になります。
そこで検討されたのが、民間事業者の資金とノウハウを活用した「熱源設備等委託業務」でした。設備導入にかかる初期投資を抑えながら、老朽化した熱源設備の更新を行い、省エネルギー化や維持管理費の低減、さらに長期にわたる安定運用を実現することが、本事業の大きな目的となりました。
病院にとって重要なのは、単に新しい設備を導入することそのものではなく、医療機能を支えるエネルギー設備を長期にわたり安全かつ安定的に運用し続けることです。そのためには、設備の設計・設置だけでなく、導入後の運用、保守、緊急対応までを見据えた仕組みが必要でした。
病院向け実績と運用ノウハウが評価され、ESSの受託サービスを採用
こうした背景のもと、当社は中国電力グループとしての信頼性、病院向けエネルギーサービスの実績、長期維持管理のノウハウを生かし、熱源設備等受託サービスを提案しました。
提案にあたっては、鳥取大学医学部附属病院などでの導入実績、遠隔監視体制、病院設備の運用経験、災害対応をふまえた設備構成などを総合的に提示し、3社競合の結果、当社の受託サービス案が採択されました。評価されたのは、設備導入にかかる初期投資を抑えられる点だけではありません。設計・設置・所有・運用・保守までを当社が一括して担うことで、病院側の管理負担を軽減しながら、専門事業者による長期安定運用を実現できる点が大きな価値となりました。
新棟建設だからこそ、ESCOサービスではなく受託サービスが適していた
提案時には、鳥取赤十字病院様から当社に対して、「ESCOサービス(※)は適用できるのか」「受託サービスにはどのようなメリットがあるのか」といった質問が寄せられました。
ESCOサービスは、既存設備のエネルギー使用量を基準に改修後の省エネルギー効果を算定・保証し、改修にかかる費用をランニングコスト削減分でまかなう仕組みです。既存設備を改修する場合には改修前後の比較ができ、省エネ効果を定量的に示すことができます。
しかし、本事業は病院本体を新棟へ建て替える計画であり、既存設備との単純な比較が難しい状況でした。そのため、「従来設備に比べてどれだけ省エネできるか」を保証するESCOサービスよりも、受託サービスの方が適していました。
※ESCOサービスとは、省エネ改修にかかる費用をランニングコスト(光熱水費)の削減分でまかなう事業です。ESCOサービスはこちら
電気・ガス・A重油を組み合わせ、非常時のエネルギー供給リスクを低減
災害拠点病院である鳥取赤十字病院様にとって、非常時にも医療機能を維持できるエネルギー供給体制は欠かせません。そのため、本事業では、複数のエネルギー源を組み合わせた設備構成を採用しました。
電気・熱源設備については、災害時のリスクを低減するため、地下ではなく新棟8~9階のエネルギーセンターに配置しました。東日本大震災では、地下に設置された設備が浸水などにより被災した事例もありました。こうした教訓をふまえ、高層階に配置することで、病院機能の継続性を高めています。
大規模な設備を高層階に設置することは、通常よりもコストや工期の面で負荷がかかります。しかし、災害時の事業継続性を重視する病院にとっては、BCPの観点から合理的な選択でした。当社は、病院様および設計事務所と連携しながら、安全性や静粛性にも配慮して設備導入を進めました。
遠隔監視と保守の一元化で、導入後も続く安心感を提供
受託サービスの価値は、設備を導入して終わりではありません。導入後も、当社が設備の運用状況を遠隔監視や巡回点検によって把握し、定期保守や緊急対応、データ解析、効率化提案までを継続的に行っています。
病院側にとって、設備の維持管理は重要である一方、本業はあくまで患者様への医療提供です。熱源設備の運用や保守を専門事業者である当社に任せることで、病院側は医療機能の維持に集中しやすくなります。
また、日々の運用の中で設備の不具合や運用改善、省エネルギーに関する相談を、専門知見を持つ当社に日常的に行える体制が整ったことで、運用改善にも取り組みやすくなったとのお声を頂戴しました。
これからも当社は、鳥取赤十字病院様のエネルギー運用を継続的に改善するパートナーとして、安定稼働を支援していきます。
旧棟では、設備導入から24年目を迎え、すでに故障した機器のほかにも、故障が頻発する機器がありました。しかし、修理費用が高く、大掛かりな修繕になるため、なかなか手を付けられない状況でした。
新棟建て替えを機に新たな設備を導入するにあたり、ESSから「受託サービスは単純なコスト削減ではなく、長期安定運用と保守責任の移転に価値がある」という説明を受け、その考え方に共感しました。
また、省エネルギーへの関心が高まる中で、日常的に設備の運用や改善についてESSに相談できる体制が整ったことは、大きな安心感につながっています。
以前は、設備に関する課題があっても、どこに相談すればよいかわからない場面がありました。現在は、専門的な知見を持つパートナーに日常的に相談できるようになり、運用改善や省エネルギーの取り組みも前向きに進められるようになりました。
鳥取赤十字病院様にとって最も大切な役割は、患者様への医療の提供です。
私たちESSは、その医療機能を支えるエネルギー設備について、専門事業者として安定的な稼働と適切な維持管理を支援することが役割だと考えています。
鳥取赤十字病院様に安心して設備をご利用いただくため、日々の運用でお困りのことや、改善したいことがあれば、いつでもご相談いただける存在でありたいと思っています。
これからも鳥取赤十字病院様の医療機能をエネルギー面から支え、省エネルギーにも配慮した供給体制の維持・向上に努めてまいります。

