24時間止められない病院の熱源設備を更新
運用改善で省エネ保証値を継続達成【ESCOサービス】
24時間365日、診療機能を止めることができない病院において、熱源設備の更新は大きな制約を伴います。鳥取県東部の中核的病院である鳥取市立病院様では、移転新築から23年が経過し、蒸気・冷温水を供給する熱源設備の老朽化が課題となっていました。
ESSが代表者を務めるコンソーシアムは、ESCOサービス(※)により高効率設備への更新と重油から電気・ガスへの燃料転換を実施。病院運営への影響を抑えながら、導入後も運用改善と点検整備によって省エネ保証値を継続的に達成しています。
※ESCOサービスとは、省エネ改修にかかる費用をランニングコスト(光熱水費)の削減分で賄う事業です。ESCOサービスはこちら
- 小型貫流ボイラ(ガス専焼) 2,000kg/h×2台
- 小型貫流ボイラ(ガス/灯油切替) 2,000kg/h×1台
- インバータターボ冷凍機 1,231kW×1台
- 空冷ヒートポンプチラー(モジュール型・冷温水切替) 180kW×8台
- エコキュート 40kW×2台
- LED照明機器 一式
- 移転新築から23年が経過し、熱源関連設備が老朽化
- 法令に基づく省エネルギー対策および財政健全化に向けた経費削減対策が必要
- エネルギー使用量およびCO2排出量削減も実現したい
- アウトソーシングで省力化を図りたい
- 老朽化した熱源設備を最新の高効率設備に更新し、蒸気・冷温水を安定供給
- ESCOサービスにより光熱水費の削減を保証
- 重油から電気・ガスへの燃料転換と高効率機器導入により一次エネルギー使用量・CO2排出量を削減、環境負荷も大幅に低減
- 設備の維持管理と省エネ実績の把握をESSに一括委託することで、業務負担軽減・設備の安定稼働・長寿命化・省エネ効果の持続を実現
| 建物名 | 鳥取市立病院 様 |
|---|---|
| 所在地 | 鳥取県鳥取市的場1-1 |
| 完成 | 1995年4月 |
| 敷地面積 | 51,600㎡ |
| 延べ床面積 | 24,578㎡ |
| 病床数 | 340床 |
| 構造 | 本館:地下1階・地上7階建て、エネルギー棟:地上2階建て |
病院機能を止めずに、老朽化した熱源設備を段階的に更新
公立病院の設備は多岐にわたり、どれも命に関わる重要な役割を担っています。鳥取市立病院のような大規模病院では24時間体制で建物機能を維持する必要があり、運営を止めることはできません。
今回の設備更新では病院を運営しながら、古い設備を生かしつつ新設備へと順次切り替える工事計画に最も留意しました。工事中は病院ご担当者様と定例の打合せを重ね、どのタイミングでどの系統を施工し、その間どの程度機能が低下するかを事前に共有。負荷が大きい設備や影響の大きいエリアは後回しにするなど、季節要因もふまえて優先順位を整理しました。そうした綿密な調整により、病院運営への影響を最小限に抑えつつ施工を完了させることができました。
削減効果を保証するESCOサービスで、財政健全化にも貢献
熱源設備の老朽化に伴い、省エネ対策と財政健全化のための光熱費削減が喫緊の課題でした。当社は地元企業を含む3社で「鳥取市立病院ESCO事業コンソーシアム」を構成し、公募を経て事業者に選定されました。
ESCOサービスでは、省エネ改修費用を光熱水費の削減分で賄うため、事業者には「省エネ効果の保証」が求められます。当社はカタログ値だけに頼らず、過去の運用実績を踏まえて設備構成と運転条件を子細に検討し、実現性の高い保証値を算定。病院に必要な蒸気・冷温水を安定供給しながら、その保証値を確実に達成できるシステムをご提案しました。
導入後は運用改善と点検整備を実施し、省エネ保証値を継続的に達成しています。
重油依存から電気・ガス活用へ。CO2排出量削減と高効率運転を両立
従来はA重油焚きボイラで給湯や空調用温水を供給していましたが、重油はCO2排出量が多く環境負荷が課題でした。建設当時は重油の安さや電気容量・ガスインフラの制約から合理的な選択でしたが、現在は電気設備・ガス導管が整備され、環境負荷の低いそれらのエネルギー源への転換が可能になっています。
当社は重油から電気・ガスへの燃料転換を必須条件とし、高効率ボイラ、インバータターボ冷凍機、空冷ヒートポンプチラーなどを導入。空調用の冷温水は基本的に電気で、病院運営に不可欠な蒸気はボイラで供給する役割分担とすることで、CO2排出量削減と高効率運転を両立しました。低負荷時には、インバータ機とヒートポンプチラーの組み合わせで負荷変動に柔軟に対応しています。
設備管理を一括で担い、省エネ効果を継続的に維持
従来、病院が設備を自己保有し、維持管理を行っている場合には、設備担当者が保守やトラブル対応、省エネ実績の把握・報告まで担う必要がありました。鳥取市立病院様のESCOサービスでは、対象設備の所有・維持管理、省エネ実績の把握・年次報告までを当社が一括して担当しています。設備の整備状況や運転データはクラウドを通じてリアルタイム共有され、故障予兆の早期発見や情報共有の円滑化につながっています。
資金面では、病院は初期投資不要で、契約期間(10年間)のトータル費用をサービス料金として月々支払う仕組みを採用しており、設備投資費用をESCO事業者であるESSが調達するために財政健全化にも寄与しています。
当社は遠隔監視で運転データを蓄積し、年2回の実績報告を通じて「どこでエネルギーを使い過ぎているか」「どの運転が効率的か」を病院とともに検討。複数台設備の運転台数や負荷配分の見直しなど、経験値を生かした運用改善と、性能維持のための点検整備により、省エネ保証値を堅実にクリアし続けています。
設備改修はESCO事業者を公募し、提案内容が最も優れていたためESSを選定しました。防音壁や超低騒音型冷却塔など騒音対策も含め、病院機能を止めずに蒸気・冷温水を安定供給できる工程を検討していただき、運営への配慮を実感しました。一般社団法人環境共創イニシアチブの2019年度(平成31年度)省エネルギー投資促進に向けた支援補助金(エネルギー使用合理化等事業者支援事業)を活用できたことも大きなメリットでした。
サービス導入後は、光熱水費の削減実績が保証値を上回っており、設備運転状況や保守実績の定期報告、クラウドによるリアルタイム共有のおかげで設備状態を正確に把握できます。「何かあればいつでも相談できる存在」がいることは、病院にとって大きな安心につながっています。
当社では、病院機能を止めることなく設備更新を進め、省エネ保証値の達成につながる設備を導入することが求められました。
導入時に立てた省エネ計画を、実際の運転データに基づく「運用改善」と「点検整備」で支え続けることが、ESCOサービスにおける私たちの役割だと考えています。
病院の皆様が安心して医療に専念できる環境を支えながら、これからも鳥取市立病院様の省エネと安定稼働に貢献してまいります。

