営業への影響を最小限に抑えた大規模設備更新と、導き出した省エネの最適解【熱供給サービス】
中四国最大級の規模を誇り、連日多くの人々で賑わう「イオンモール広島府中」様。2004年のオープン(当時の名称はダイヤモンドシティ・ソレイユ)以来、約20年にわたり、この施設の快適な空間づくりを裏側で支え続けてきたのが、当社の熱供給サービスです。
2024年のオープンから20年という大きな節目を迎えるにあたり、老朽化した空調(冷房)熱源設備の大規模な更新プロジェクトが始動しました。「店舗の冷房を絶対に止めない」という難条件の中、環境配慮と安定稼働の両立をかなえたプロジェクトをご紹介します。
- ブライン固定速ターボ冷凍機 4,044kW(1,150USRT)× 2基
- ブラインインバータターボ冷凍機 3,797kW(1,080USRT)× 1基
- 冷却塔 4,795kW× 3基
- STL氷蓄熱槽(既存再利用) 130㎥×10基
- ブラインポンプ 738㎥/h× 5基
- 冷却水ポンプ 825㎥/h× 3基
- プレート熱交換器(既存再利用) 3,516kW×1基、6,505kW× 2基
- 空調熱源設備が設置後20年を迎え老朽化している
- 経済性と環境性を両立させ、安心・安定した冷熱供給が必要
- 設備を更新する冬期でも店舗の冷房は止められない
- 高効率な機器への更新でエネルギー使用量、CO2排出量削減
- 氷蓄熱槽の再利用でイニシャルコスト削減、最大需要電力を抑えて電気料金削減
- 2シーズンに分割した入替工事で、必要な冷水の供給を継続
| 施設名 | イオンモール広島府中 様 |
|---|---|
| 企業名 | イオンモール株式会社 |
| 所在地 | 広島県安芸郡府中町大須2-1-1 |
| 開店日 | 2004年3月 |
| 敷地面積 | 約126,000㎡ |
| 延べ床面積 | 約256,000㎡ |
| 回数 | 地上4階建て、一部5階建て |
| 構造 | 鉄骨造 |
環境配慮とコスト削減の両立を目指して
イオンモール広島府中様と当社のパートナーシップは、施設が産声を上げた2004年に始まりました。以来、熱源設備を当社で運転・管理しながら、施設へ安定的に冷熱を供給し続けています。今回の更新にあたり、大きなテーマの1つとなったのは「環境への配慮」です。イオンモール様は全社的に環境問題への意識が非常に高く、CO2排出量やエネルギー使用量の削減は必須の課題でした。
20年前と比べると現在とでは、機械の性能も空調設備のあり方も大きく進化しています。そこで当社では単純に同じ設備を新しくするのではなく、複数のシステムを比較検討。安定的に熱を供給し続けることを大前提として、お客様にとってトータルで最もエネルギーコストが下がり、CO2排出量削減にも寄与できるシステムをご提案しました。
冷房を絶対に止めない――。緻密な計画による更新工事
今回のプロジェクトにおいて最大の難関となったのが、ターボ冷凍機3台の入替工事でした。イオンモール広島府中様ほどの規模になると、ほぼ1年中どこかのエリアで冷房が必要になります。したがって、「店舗の冷房は絶対に止めない」という難しい条件下で設備の更新を行う必要がありました。
そこで当社が採ったのは、冷房負荷が下がる冬期(12月から翌年3月)を狙い、工事を2期に分けて実施するという計画でした。既存のターボ冷凍機3台を1台と2台に分けて撤去し、新しい機械を同数搬入して運転可能な状態に仕上げる。営業中の施設内で、設備を稼働させながら慎重に入替作業を進めました。当社技術陣の高度なノウハウと綿密な調整により、この入替作業は営業を停止せずに無事完了させることができました。
導き出した最適解はインバータ機と氷蓄熱槽のハイブリッド
新たに導入したシステムにも、当社ならではの工夫を凝らしています。ベースとなる「ブライン固定速ターボ冷凍機」2台に加え、負荷の変動に柔軟に対応できる「ブラインインバータターボ冷凍機」1台を導入。店舗の冷房負荷は、真夏のピーク時とそうでない時とで大きく変わります。一定のスピードで回り続ける「固定速」に対し、回転数を変化させられる「インバータ」を組み合わせることで、余分な電力消費を抑え、高いエネルギー効率を実現しました。
さらに特筆すべきは、既存の「氷蓄熱槽」を再利用した点です。ここには、電気料金の仕組みが深く関わっています。基本料金は、1年間の中で最も電気を使ったピーク時の使用量(デマンド値=30分毎の平均電力使用量で、電気料金の基本料金を決める指標)で決まります。
今回のシステムでは、電力需要が少ない真夜中の電気を使って蓄熱槽に氷として貯めておき、昼間に店舗が暑くなってきたらその氷を溶かしながら冷房を行っています。これにより電気使用量のピークカットができ、契約電力を抑えることで施設全体の電気料金の低減が可能となります。
最新のインバータ機による効率化と、既存の蓄熱槽によるピークカット効果。新旧の設備をハイブリッドに組み合わせたこのシステム設計は、これまでに蓄積された運用実績をベースとした当社の知見と、負荷に合わせた幾つもの運転パターンで最適に運用してきたノウハウを生かした技術提案といえます。
迅速かつ地域密着のワンストップサービス
イオンモール広島府中様では、2004年の運用開始時から冷熱供給停止を伴う大きなトラブルは一度もなく、ご提案したシステムは「今後も継続できる信頼性がある」との評価をいただいています。
また当社は広島市内に本社があり、地元企業の利点を生かした迅速かつ地域密着のワンストップサービスが可能です。何かあればすぐに駆けつけられるため、お客様にとって大きな安心感につながります。そして24時間有人による遠隔監視を行っており、万が一トラブルが生じても広島市内にある遠隔監視センターで対応できる体制をとっています。さまざまなセンサーで監視しているため、どのようなトラブルが生じているかも遠隔で確認でき、速やかな対応を行っています。
エネルギー使用量の削減が期待できることに加え、複数のシステム比較により15年間のライフサイクルコストの評価で最も優れていたため、採用に至りました。これまでの安定した運用実績とフルメンテナンスによる信頼性が高かったこともポイントでした。
導入後は既存氷蓄熱槽の活用によって電気契約内容に合わせた柔軟な運用が可能となり、電気料金の削減につながりました。また、エネルギー使用量が減ったことで、CO2排出量の削減もかないました。
これまでの運用実績や既存設備の健全性を踏まえてお客様と協議を重ね、15年先を見据えた空調熱源システムを比較検討し、最適なシステムを提案して設備更新を行いました。当初の15年契約を5年延長していただいていたこともあり、当社でも前例のない通算35年間にわたる長期プロジェクトとなりました。これからも安心・安定したエネルギー供給が継続できるよう、適切な設備保全と運転管理に努めてまいります。

